お金の運用は誰から学ぶ?


お金の知識を持つ前に大事なこととして、二つの『心得』をご紹介します。


心得① 自分で完全に理解できていない金融商品を買わないこと。

心得② セールスマン、友人、知人いずれも他人から勧められた金融商品は買わないこと。


セールスはもちろん、新聞・雑誌などの記事にせよ、いわゆる口コミにせよ、あるいは親切風な人からのお節介にせよ、他人が教えてくれるお金の話を信じて、自分のお金を動かしてはいけません。

例えば、真のプロは本当に儲かる話を他人に教えるはずがないのです。

これはよく考えるとわかる話でしょう。


「自分ではできないんだから、専門家に教えてもらえばいいじゃないか!」という考え方は、ある意味で非常にまっとうです。

病気になったら医者に相談する、それと同じでいいように思いますが、投資においてこの方法はあまりうまくいきません。


投資の世界は、評論家、コンサルタント、アナリストなど、投資家に儲かる情報を提供するプロと称する人たちであふれています。

評論家は、投資で儲ける本を書いたり、講演したりして稼ぐ自営業者であり、コンサルタントは、投資家からお金をもらってアドバイスをするのが仕事。

アナリストは金融機関(証券会社)に勤めるサラリーマンで、顧客へのサービスとして投資情報を提供しています。

しかし、現実には彼らの予想は全然当たらず、投資家に損をさせているのが実状。

その理由を、20世紀が生んだ最高の経済学者の一人であるポール・サミュエルソンが巧みな比喩で説明しています。


samuelson.png

「一般投資家が求めているのは、例えて言えば、起床ラッパを吹く係の兵隊を起こしてくれる犬である。そんな犬を探してくるのは容易ではないし、いたとしても借りてくるには大金を積まねばならない」


本当に儲かる情報(起床ラッパを吹く係の兵隊を起こしてくれる犬)を知っている人は、自分で自分の資産を運用した方がはるかに得。

ですから彼らから情報を教えてもらうには、それ以上の対価を支払う必要があり、ましてや彼らが給料をもらって情報提供したり、本や講演で稼ごうとしたり、そんなくだらないことをするはずがないという訳です。

至極当たり前の話ですよね!


また、聞きかじりの素人は、自分と同じリスクを取る仲間を欲するもの。

彼らの話を聞く側にも、仲間がいると安心だという気持ちや、仲間が儲けているのに自分が儲かっていないのは悔しいといった嫉妬などの余計な心理が働きます。

私は長年金融の世界にかかわってきましたが、お金の問題で真に恐ろしいのは、マーケットのリスクではありません。 

それは…


お金の問題で真に恐ろしいのは『人間』です!