人的資本とは?
『人的資本』、見慣れない言葉だと思います。
ですが、お金の運用を考えるうえでは大切な考え方ですから、ぜひともお目通しください。
- 『人的資本』とは、将来得られるであろう収入を現在の価値に評価したもの。
これだけですと、ちょっと分かりにくいですね…
たとえば、30歳のサラリーマンは仕事や能力にもよりますが、たぶん1億円を超える人的資本を持っていると考えることができます。
今後に期待できる生涯所得は2億円以上あるかもしれませんが、金利とリスクを織り込んだ利回りで将来得られるであろう収入を現在の価値に評価。
そうすると、1億円を超える現在価値があるだろうということです。
より簡単にいえば、その人の現在の価値。
ちなみに「サラリーマンは体が資本だ」とよくいわれますが、ほとんどの人は何らかの人的資本を持っています。
では、具体的に見ていきましょう。
先のサラリーマンが150万円の普通預金と300万円の株式を持っているとしたら…
あなたならどう思いますか?
450万円の金融資産の3分の2を株式で持っていると考えると、とても大きなリスクを取っているように思うかもしれません。
ですが、150万円の普通預金と300万円の株式と1億円以上の人的資本が資産だと考えて、その状況を客観的にながめると、風景が少し違って見えるのではないでしょうか?
我が国の年金積立金の運用などよりもずっと低リスクで、ずいぶん手堅い運用に見えます。
一般的に、若い人は資産運用で大きなリスクを取っていいといわれることがあります。
ですが、その正しい理由を答えられる人は多くありません。
- 「長期にわたって投資できるため、リスクが縮小するから」
- 「人的資本を考えると、金融資産の運用で取るリスクが相対的に小さいから」
どちらが正解だと思いますか?
正解は「後者」です!
前者はファイナンス研究的に(という以前に、単に数学的に)誤りなのですが、新聞の資産運用特集・雑誌・単行本などで広く流通している誤った運用常識。
これは、マネー本の著者が持っている知識の正確性をはかる有効なチェックポイントの1つなので、覚えておくといいでしょう。
とはいえ、人的資本には個人差があります。
たとえば、若くても病気などの事情で収入を得ることが難しい人は、人的資本が小さくなります。
そのような人が、「自分は運用期間が長いから大きなリスクを取ることができる」と思い、大きなリスクを取ることは不適切。
こうした個人差を理解してお金を運用することは重要ですが、金融機関は顧客についてそこまで親身には考えてくれません。
顧客がお金を持っていれば、彼らはそのお金から最大限の手数料を取りたいと考えるでしょう。
残念ながら、それが現実です…
若くて健康な人の人的資本は大きくて割合安定していますが、高齢になると、今後稼ぐことができる時間が短くなりますし、健康の問題から稼ぎが不安定になるリスクもあって、人的資本の価値は落ちます。
その代わり、平均的には高齢者の方が若年者よりも大きな金融資産を持っています。
人的資本が縮小する老後までに大きな額の金融資産や実物資産を築く
それができれば、あなたの人生は経済的に成功したといえるでしょう!